「音声が可視化する」って、すごいことですよね。(2)
2019年04月15日(月)コンタクトセンターの何が難しいか。
もちろんいろいろあるのですが、最たるものが会話が見えないことだと思うのです。
何が会話されたかが見えない、というのもありますし、今、現に行われている会話の内容や様子が見えない、ということもあります。
今、現に行われている会話の話でいうと、例えばSVにアラートが出た会話がなぜクレームになっているのか、どんな用件のお客様とどんな会話を経てクレームになっているのか、助けに入ったSVにもわかりません。
話しながら状況を高速でメモ打ちできるエージェントもいるかもしれませんが、きっととても少ないでしょう。
結局、じっと会話をモニターしながら、それまでの会話を推測するか、保留してエージェントの話を聞くか、しかないわけです。
保留する、というのはすでにお客様に影響する行為ですから、それだけで事態がひとつ進むこともあります。気軽にはできません。
エスカレーションを受けたSVは自身のストレスをぐっとこらえながら、状況をつかみ、判断をくだすわけです。
音声認識の入れ方には二種類あります。蓄積された音声録音をテキスト化する入れ方と、進行している会話を同時にテキスト化する入れ方です。
コンタクトセンターでの音声認識の活用はVOCやエージェントの指導教材づくりのための、全通話録音のテキスト化を中心に語られることが多かったように思いますが、実は効果を実感しやすいのは進行している会話の同時テキスト化のほうです。
同時テキスト化が導入されているセンターなら、アラートを受けたSVはまずその会話の流れをオープニングに遡って読むことから始めます。
音声を聞くときの早送りはせいぜい倍速ですが、音声認識のテキストならさらにその何倍ものスピードで流し読みし、ポイントをつかむことができます。
SVは多くの場合、テキストを読むだけで今何が進行しているのか、なぜそうなったのかを理解することができ、取るべき行動を落ち着いて選ぶことができるでしょう。
エージェントの見ている画面に助言を送ってあげることもできるでしょう。
仮に応対を交替するというエスカレ対応を取る場合でも、引継ぎにかかる時間は大幅に減り、スムースに交替できるでしょう。
クレームなどに発展した会話の過程でのエージェントの対応や発した言葉に何か問題があったとしましょう。
事後になるでしょうが、会話記録のテキストを読み返すことで多くの場合、その問題は明らかになると思います。
エージェントの指導も的確に、具体的にできるでしょうし、エージェント自身で読み返すことを含めて、エージェントの納得、そして成長にもつながるでしょう。
音声の可視化について、もう少し話を続けようと思います。
武藤 弘和