情報工房コンタクトセンターアカデミーコラム講演後記講演後記 -損得軸より、幸せ軸 ~ていねい通販のヒミツ~-

講演後記講演後記 -損得軸より、幸せ軸 ~ていねい通販のヒミツ~-

2021年04月22日(木)

JCAセミナー “損得軸より、幸せ軸” ~ていねい通販のヒミツ~
講演後記(コメントより抜粋 / 文責 : 宮脇)


昨年の2月にコールセンター協会のディスカッションの中で、奥条さんのお話しを伺いました。とてもビックリしました。その時は時間が短かったのですが、今日はたっぷりとお聞きして、さらにその時の10倍ビックリしました。

宮脇さんの最初の話の中で、JCAは「ワクワクする展望を語り合える場所を作ろう」ということでしたが、今日はまさに「ワクワクする話」をお聞かせいただきました。

なぜワクワクする話だったかと言うと、それは対談の中で出てきましたことに尽きます。
コンタクトセンターといえば、例えば「KPIとCXとNPSを両立させろ」というような、働いている方からすると二兎三兎同時に追うような無理難題を強いられます。苦しいこと辛いことが多いわけです。そんな中でも「みんな、色々あっても笑顔で笑声でやりましょう」という風に仕事をしている。

しかし今日の奥条さんのお話からは、なんというか、そういったモヤモヤ感が全くなくて、本当にまっすぐで吹っ切れていました。今日のキーワードの一つが「気持ちいい」でしたが、お話を聞いててとっても気持ちがよかったです。

もう一つ「ビックリした」の理由なんですが・・・
「非効率でいいんだから」ではなくて、「非効率こそ利益の根源だ」というところ。コンタクトセンターで、こういうことを言うマネージャーには初めて会ったように思います。実際に去年お話をうかがった時には、処理時間も通話時間も制限をかけず、「いい会話をしよう」というふうに動いたところ、「平均通話時間が2分半から3分に伸びて、これはよかったと思っている」とおっしゃいました。これ、普通の感覚とは真逆なわけです。
効率じゃない、しかも理屈の理、理論の理じゃなくて、「情」なんだということも、スライドの大きな字で見せていただいてとても印象的でした。

そして今日また事例でお聞きしたのが、定期解約のお話です。
定期の中止のお客様にハガキを送る。しかも手書きをする。このハガキは「もう1回続けてください」じゃなくて「いままでありがとうございました」というお礼の葉書なのだそうです。なんでそれをするのかと言うと、「したいからだ」とおっしゃいます。「したいから」というのは、ていねいさんの言葉では、「あったかい気持ちの赴くままにやるとそうなるんだ」ということなのです。
これはすごく説得力あります。聞いていて気持ちよくなります。

ていねい通販さんは魅力あるビジネスのビジョンを掲げて、それを実際に実現して、そのビジネスや職場や人の繋がりが続いていくように運営されています。この話を聞いて「これ簡単だな」と思った人は、今日は一人もいないと思います。本当に難しいことをやってらっしゃると思います。その難しいことを目指しているのですが、そんな感じが全くなく、当たり前のように実現されていることが本当のすごいところで、それを目の当たりに見せていただけることが、私たちがワクワクする意味なのだと思います。

なぜ、ていねい通販さんがこのやり方で成功を続けてらっしゃるのか。
やっぱり欠かせない要因がいくつかあって、そのうちの一つが、先ほど社長しかできないと言われた「商品」の話です。
いくら良いコミュニケーションがあっても、その上で動いている商品がちゃんとwin-winになるように、売る側にも利益をもたらしてくれるように、そして一定の売上規模になるような、ライフタイムバリューというのがそれなりの計算が成り立つようなものでなければ、やっぱり成立はしないと思います。それがていねい通販さんの場合はきちんと両輪になって成り立っている。これが最も大事なことだと思います。

そしてそれ以上に大事なのは、トップが全くブレないこと。
そのブレないだけではなくて、ブレないということを日々、発信して続けている。
そして、そのトップのビジョンをまっすぐに信じる奥条さんや社員の方、スタッフの方がそこにいらっしゃって、トップの方と社員スタッフの方との信じあう関係がちゃんとできている。

これも普通の組織では容易に実現しないことなので、商品の面でも、組織の面でも、文化の共有という面でも、二重にも三重にも難しいことをやってのけて見せてくださっている。
じゃ、このあと続けないのかと言うと全然そうではなくて、宮脇さんがおっしゃったように、今、時代は明らかていねい通販さんが目指す方向に向いています

先月発売されたコールセンターの入門書に、たくさん事例が紹介されています。その中で、事例の第一号、巻頭に近いところで紹介されている会社の事例は、採用では、人柄や人間性をまず重視して選んでいる。研修ではスクリプトはほとんど教えない、朝礼ではフリートークの時間を作っている、ルールじゃなくて親友ポリシーという言葉で応対するよう指導している、という内容でした。CSRは大切な仲間であって、代表と定期的に懇談の時間を作ってる。まだまだ、ていねいさんのやっている世界と比べるとずいぶん違いますが、それでも今までKPI一色でやってきたセンターマネジメントからすると、とっても違っています。しかも、これがその入門書の最初に目にする事例です。
コンタクトセンターの世の中が変わり始めているんだなぁ、とつくづく思いました。

我々の仕事の分野を、大きく「世界」と言ってしまえば、世界は「ていねい通販さん」の後を追い始めている、と思います。

それが今日の「ワクワク」の正体なのだだと思います。
今日は本当にありがとうございました。

武藤 弘和

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