情報工房コンタクトセンターアカデミーコラム対談を終えて「通販センター長の奮闘記15年」後記

対談を終えて「通販センター長の奮闘記15年」後記

2021年07月29日(木)

■サンスターダイレクトコールセンターとの出会い

講演をお聞きしていて、着任1か月目「茨の道に望んででもチャレンジしたい、と言ったことを後悔する」という言葉に、 ひたすら聴くことしかできなかった時を思い出していました。

2006年にセンター改革に招聘され、数か月後、山下さんに着任いただいたのが始まりでした。
彼女とセンターの皆さんの尽力で、約2年で自走できるようになりました。
私たちはその後、つかず離れずで見守る立場となりました。
自走できるようになってからのセンターの成長が早かったことを記憶しています。
山下さんだからできたんだろう、と言えばそうなのですが、決して奇跡でもなく特殊なパーソナリィティーでもありません。
それは、弛まぬ努力と勇気ある実行のたまものだったんだろうと、私は理解しています。

■やり切った成功へのプロセス

1.「どうせ、私たちなんて大切にされていない」の克服から仲間の信頼を得た
 ⇒徹底的な「対話と教育」のしくみを作った。

2.「どうせコールセンターでしょ」脱却で、他部門・他組織からの信頼を得た
 ⇒ゴールを目標に変え、実績を作った。資格、検定、賞の獲得。

3.「よくやっているよね、なんだか気持ちいい」の賞賛の声を、自社・お客様含む社外から集めた
 ⇒内外にアピールしてその評価が累積する。

4.従来のコールセンターの領域を広げ、小冊子・キャンペーン商品開発等、マーケテイングの一部にもセンターが関わりだした。

山下さんの軌跡が、綺麗ごとではなかったことは、容易に想像がつきます。
コンタクトセンターのマネジメントを命ぜられると誰もが越えることをあきらめてしまいそうになる高い壁。

組織のヒエラルキーやセクショナリズムの中で、「どうしてコールセンターメンバーが変わらないといけないのか」を 参加者に説き続けました。理解しようとする人もいるし、受け入れられない人もいました。

そして、参加者が彼女の理想を理解した時、笑顔が溢れるサンスターダイレクトコールセンターが出来ました。
すると、組織の壁に風穴が開きだしました。

■変わらないことも進化

打合せの時に、山下さんは、本音でこうおっしゃいました。
「確かに私は、組織の壁を壊したかもしれないし、成果も出したかもしれない。でも、一時的なもの。
会社の経営方針が変わる度に、崩れていく。まるで、砂の上にビルディングを立てているようなものだ」 と。

私は断言します。決してそんなことはありません。特にお客様部門、コールセンターでは、そうなりにくいのです。
山下さんのチームメンバーにこんな問いを投げかけてみましょう。
「会社の経営の方針が変わったら、皆さんの仕事や仕事の仕方は変わりますか?」

すると微笑みながら、きっとこう答えるはずです。
「私たちが目の前で対峙しているのはお客様、お客様が変わらない限りそれはありません。
私たちが向かい合うのは、決して経営者ではありませんから。」

この言葉が身についたセンターが、もう15年前に戻ることはありません。
良いコールセンターとは、お客様が主語になっている職場です。
お客様が見えなくなっている情報社会下において、経営者もコールセンターにそれを求めます。

■継いでいくサンスターダイレクトコールセンターは「考える組織」

ぐいぐい引っ張っていくリーダーが去り、積み上げてきたものがすべて崩れていくように思えるかもしれません。
不安になることでしょう。でも決して、全く、そんなことはありません。

皆さんは、成熟した個々の集合体となっています。その中で、働く仲間とお客様と会社が満足するやり方の模索は、 そんなに難しくはありません。

皆さんは、次のやり方を模索するのです。
次のリーダーに過去のリーダーシップを求めては、あまりにも無理があります。

新たなリーダーの下、「考える組織」を目指してください。

■ 風穴の開け方は「一人で戦わない」

この業界に35年います。
組織を変えていった方々の一つ共通点を上げるとすれば、それは「仲間を作る」です。「一人で戦わない」です。
山下さんも例外ではありませんでした。たくさんの社外の支援者がいらっしゃいました。
マーケティングコンサルタント・システムコンサルタント・コンタクトセンターエージェント・ビジネスコーチ・ 教育インストラクター・カウンセラー等、善意の仲間の皆さんです。

組織という大きな壁を目の前にしたときには、決して忘れてはいけないことだと考えています。

■結びに

先日の講演の彼女の涙は、満身創痍のエンディングを表しているように思えました。実は、そうなることを予想していませんでした。
そんな感情の中、対談を進めてしまうこと自体、ご本人にも失礼で、皆さまには伝わらなかったんじゃないかと反省しています。

伝えたいことをうまくエスコートできていなくて、ごめんなさい。
勉強不足が身に沁みます。
宮脇 一
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