情報工房コンタクトセンターアカデミーコラム講演後後記 〜 奇跡をたぐり寄せて 最強チームの作り方 〜

講演後後記 〜 奇跡をたぐり寄せて 最強チームの作り方 〜

2021年07月30日(金)

JCAセミナー “通販センター長の奮闘記15年” ~ サンスターダイレクト通信販売部センター~
講演後記(コメントより抜粋/文責 : 宮脇)


昨年、サンスター株式会社 山下さん登壇のJCAセミナーに参加させていただきました。
宮脇さんや私と同じ志を持ち、“想いの濃い”仲間である山下さん。
そんな彼女が作り上げた最強チームの作り方をご本人からお聞きすることができ、私も大変幸せでした。

まず私に大きな印象を与えたのが、センターマネジメントのひとつとして実施されている全国電話応対コンクールへの参加です。
コンクールへの選出人数が9名、14名とおっしゃっていましたが、それを聞いて“どのくらいとんでもないこと”なのか、お分かりの方はそれほど多くはないのではないのでしょうか。

じつは昔、私自身がそれを主催・企画しているメンバーの1人でした。
電話応対コンクールは長い歴史がありますが、「受賞=コールセンターの人材として超A級」という考えは私にはなかったのです。
なぜなら、当時の電話応対コンクールでは、言葉の選び方や会話がうまく進むことなどテクニカルなことに重きを置かれていたからです。

コールセンターの仕事は何かしらの形で関わってきたものの、応対コンクールからしばらく離れていたある日、久しぶりに応対コンクールってどうやってるの?と担当者に聞いてみたところ非常に驚きました。
本当の気持ちを理解するための会話、気持ちが通じ合うための会話がどのようにできているかを評価できる場になっていたのです。
だから、生半可なことでは上位にいきません。
本当に会話能力のある方、つまり会話能力のベースに人間力がないと上位に行けない仕組みになっています。
そのコンクールの上位に9人という話を以前に聞いてたまげたものですが、さらに増えるとは思いませんでした。
これは容易なことでは実現しません。
母体がもっと巨大なセンターであったとしても成し得ないことです。

加えて山下さんはもう一つ、すごいことをおっしゃいました。
「エスカレーションはほとんどない」と、さらりと言われていましたが、普通はあり得ないことです。
この二つだけ聞いてもとんでもないチームを作り上げてこられたということをしみじみ感じます。
一人一人のスタッフが会社の責任者であり代表者という意識をもつ。
これをやってこられたからこそエスカレーションがないチームが出来上がったのだと思います。
「ただ、任せること、見守ることをする」責任者でいるというのは辛い面もある。
責任者になると、誰も褒めてくれません。
ですからみんなで支えあって、励ましたり褒めたり、カバーしながらやってこられたのだろうなと思います。
そうして、このようなチーム集団を一緒に作ってこられたからこそ、人が辞めないセンターに育っていったのではないでしょうか。

「“人が辞めないセンターを作る”それには、まずセンターを会社だと考えてみるんだ。
その会社をよくするために、自分が会社に入ってやった最初の一歩はお掃除なんだ」とおっしゃった一言、
これもなんだかぐっときました。 私は雇用としては同じ会社でしたが、誰ひとり知る人のいないところにポンと行くと異動するいう経験はありました。
その時、似たようなことを考えていた気がします。
山下さんの思いや自身の経験など、センターへの思いが交錯しました。

ある雑誌にこんな内容の記事が掲載されていました。
山下さんのセンターがアワードを獲ったときのインタビュー記事です。
その中では、センターを大事にするということは
「仲間を愛すること」「個人の成長無くして組織の成長はない」
そのように書かれていました。
この二つ、残られたみなさまは、全く山下センター長からそのまま受け継いでいるではないですか。
所属の違う派遣会社所属のSVさんにも、しっかりと想いが浸透していると感じました。
素晴らしいことだと思います。

最後にもうひとつ、VOCについてです。
私たちも、かれこれ11年、宮脇さん達と一緒にお客様の声を聴こうというVOCの活動を続けてきました。
このVOCで難しいのがお客様の声を選ぶ作業。
じつはお客様の生の声は、どの声も得るところばかりなのです。
幹部の方、開発責任者の方、デリバリーの責任者など、その方にとってこの声が一番大事というところを選ばなければならない。
テキストにすればたくさん渡せますし、選ぶ難しさを緩和してくれます。
でも、「聴こう会」で生の声を聴いていただくとなると少ししか聴いていただけない、だから選ぶセンスが問われてしまうのです。
これが本当に難しい。

山下さんはこれができるチームを作られた。
そして、私が筋金入りだな!と思ったのはスタッフへの共有方法です。
まずVOCは情報を要約するなど必要なのですが、山下さんはシステム部時代に情報処理の技術をお持ちになっていますし、お客様相談室のご経験もおありなので第一段階の選別は全てご自身で準備することができます。
そのVOCをスタッフに共有するから、より高度なセレクションができる、まさに筋金入りのセンターだと思います。
ものすごい底力のあるチームを作ってこられたのだな、と感じました。

山下さんには、センターに関わる皆が元気になれる大切なお話をしていただけたと思います。
今回は本当にありがとうございました。

武藤 弘和

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